キング牧師を描いた映画『グローリー/明日への行進』(6月19日公開)の
テーマ曲「Glory」をHEAVENESEがカバー!!
「日本人だからこそ観るべき映画」そう語るHEAVENESEリーダー、マレ
今、なぜグローリーなのか。
その思いに迫る!!!
第一次世界大戦が終結した1919年1月、フランスはパリで講和会議が行われた。
このパリ講和会議は、戦後処理の会議であると同時に、第一次大戦の惨禍を再び繰り返さないために「国際連盟」を創設しようという会議だった。
このとき、米国の黒人たちが最大の敬意をもって注目し、熱い視線を送ったのが日本だった。
日本は、国際連盟規約に「人種平等の原則」を入れるという目標を掲げ、講和会議に参加したからだった。
日露戦争に勝利した日本は、欧米列強と肩を並べる大国となり、第一次世界大戦には連合国側として参戦した。だから第一次大戦後の世界会議で、日本は「主要5カ国」の一つと数えられていた。
数百年にわたる白人が支配する世界で、彼らが無視できない大国という立場を手に入れた日本は、まさに有色人種の希望の星だった。
そして大戦後、有色人国家として初めて、白人支配の世界秩序に対して 「人種差別のない世界」をつくるべきという「偉大なる提言」を堂々と発したのである。
この輝かしい歴史を、他ならぬ日本人があまり知らない。
パリに向かう途中、ニューヨークに立ち寄った日本の全権使節団。
このとき「ボストン・ガーディアン」紙の編集長モンロー・トロッターなど、黒人社会の指導者4人は「アメリカ国内のみならず、世界中の人種差別と偏見をなくすことに尽力してほしい」という彼らの願いが込められた嘆願書を日本全権に手渡す。
国際連盟ではなく、日本に嘆願書を手渡したことは、日本に対する期待の大きさの表れだった。
公民権運動の活動家であり作家のジェイムズ・ウェルドン・ジョンソンは日本を、「恐らく世界で最も有望な、有色人種の期待の星」と評した。
全米黒人新聞協会はコメントを掲載した。
「われわれ(米国の)黒人は講和会議の席上で“人種問題”について激しい議論を戦わせている日本に、最大の敬意を払うものである」(Japan: Ally in the Struggle Against Racism, 1919-1927 Reginald Kearney)
そしてこう結んだ。
「全米1200万の黒人が固唾をのんで会議の成り行きを見守っている」
しかし、日本の『人種差別撤廃法案』は、議長であった米国大統領ウィルソンによって退けられてしまった。多数決の原則によれば日本の法案は通るはずであった。
それを、ウイルソンが握りつぶしたのである。
それは明らかに不正であった。
しかし超大国アメリカの強行姿勢の前に、賛成を表明していた他の白人国家も沈黙した。
白人社会の歴史的権益の全てがかかっている人種差別の壁は、そう簡単には崩れない。
日本人は有色人種のために戦っている・・・。
この姿を見た黒人たちは、自分たちと日本人を同一視するようになる。
フィラデルフィア・トリビューン紙は「黒人たちは日本人を心から尊敬している。同じ抑圧された民族であるにもかかわらず、自分たちのために一生懸命努力する」と書き、日本人の態度に黒人も見習うべきだと啓蒙した。
彼らの日本への愛情は、関東大震災の直後に発露した。
「アメリカの有色人種、つまり我々黒人こそ同じ有色人種の日本を救えるのではないか」
彼らはそう考えた。
シカゴ・ディフェンダー紙は即座に日本人救済キャンペーンを開始する。
「黒人として何ができるかを考えよう。確かに我々は貧しい。しかし今、お金を出さずして、いつ出すというのか!」
黒人の銀行家が真っ先に巨額の寄付を行なう。
そして、熱心な新聞の呼びかけによって、多くの黒人たちが日本を救えと立ち上がった。
彼らの活動は、被災した人々への一般的な態度のように思えるかもしれない。
しかし、関東大震災に見舞われた日本人を観る黒人たちの目は、一般的救済活動のそれとは違っていた。
シカゴ・ディフェンダー紙のコラムニスト A.Lジャクソンはこう分析している。
「長い間、白人たちの専売特許だった科学や商業、工業、ひいては軍事において、飛躍的な発展を遂げようとしていた日本が、大きな打撃を受けたことにより、黒人もまた精神的打撃をうけたということである。なぜなら、日本人は、それまでの白人優位の神話を崩した生き証人だったからだ」
(Japan: Ally in the Struggle Against Racism, 1919-1927 Reginald Kearney)
日本人とアメリカの黒人たちの間には、こうして強い絆が築き上げられていった。
黒人の歴史学者ジェラルド・ホーンはこう言う。
「疑いの余地無く、第二次世界大戦までの歴史を通して、アメリカの黒人たちから最も尊敬されていた民族は日本人だった」