「End of Beginning」という副題が付いた今回のライブは、文字通り天国民の「序章」が終わり、HEAVENESEの第2章が始まったと言える、素晴らしいものになりました。
出演者の数が、ダンサー18名を含める過去最多の41名。まさしくライヴを超えたエンターテイメント、過去最大級の舞台が準備されていきます。
ダンス、殺陣、そしてコント。さながらリハーサル会場は映画の撮影現場のような騒ぎ。ステージの向かいではお馴染み移動式カフェ、モバイルキックバックカフェの準備も進みます。 |
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通算5度目のO-EAST、そしてLAツアーでの7公演を経験し、スタッフの動きも手慣れてきました。
前日は関東が大雪が積もり、おまけに当日の早朝には千葉で震度4の地震(主催者としてはちょっと焦りました!)、そんな不穏なムードを吹き飛ばすように、開場前から長蛇の列が出来上がり、今回も動員数500人を超え、満員マークをつける事が出来ました。
ホール内にオープンしたモバイルKICK BACK CAFEでは、
前回も好評をいただいた”おむすび”の『造化三神セット』も登場。 |
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#1 The Code of the Samurai
今回のステージは基本的にL.A.ツアーの構成と同じでした。
つまり、アメリカ仕様のHEAVENESEの初お披露。
アメリカツアーの為に制作されたオープニングムービーに続き、幻想的な光の中、虚無僧姿で静かに尺八を吹き鳴らすDK登場。いよいよ『The Code of the Samurai』の始まりです。
そして柴崎アクションプロジェクト(L.A.ツアーでは参加せず)の白熱の殺陣。
この曲のタイトル、『The Code of the Samurai』とは、日本語では『武士道』のこと。
彼らの演技は、忠義のために命をかけて戦う武士の精神を表しています。
その後、白いかつぎを羽織ったKumikoが提灯を持って入場。
鈴の音だけがこだまする静寂の中、灯火を吹き消す儀式が、O-EASTでも実現されました。
これはカオリ・ナラターナー氏の演出で、東日本大震災へ鎮魂の思いを込めて、L.A.ツアーの各会場で行われたものです。
提灯の火が消え真っ暗な中に、ついにHEAVENESEが、日本に逆上陸を果たしました!
#2 All of Me
怒濤のL.A.ツアーを体験したメンバーの生み出す音とパフォーマンスは、以前よりも格段にタイトかつパワフルになっています。
L.A.ツアーの全会場で、この一曲目で観客の心をつかんで来た彼らの自信が加わった演奏に、HEAVENESE良く知るファンたちさえ、
ここにいるバンドが自分たちの知っていた「地元バンド」ではなくなっていたことに気づいた瞬間でした。
#4 MC / Hallelujah
こちらは国内の天国民ライヴでもお馴染みの、マレのMCからハレルヤコーラス。
「今日初めてヘブニーズのライヴを観るという人はいるの?」という問いかけに、大勢の拍手が。
ところで、今回のショーの音響の変化に気づいた方はいらっしゃったでしょうか?壮大なスケールに発展したHEAVENESEのステージは、まるでシルクドソレイユのようだ、と話していたところに、去る二月に終演したシルクドソレイユ『ZED』の音楽監督のエビュート氏が、参加をしてくれる、という幸運が起こったのです。
大勢の出演者、和洋折衷の楽器、型破りの演出・・・何もかも「任せてくれ」のエビュート氏と、我らの専属PA石井さんの共同オペレーションにより、HEAVENESEの新しいステージは一段と輝きを増しました。
彼のサウンドは、新作『Silk Road』で聴く事が出来ます。 |
モニターPA:石井香 |
PA:エビュート・セルバンテス |
#6 シルクロード
今回初登場の楽器、二胡(にこ)。
奏者は吉田兄弟のサポートなどでも活躍する山平憲嗣さんです。
悠久のシルクロードを旅し、日本に辿り着いた秦氏の物語を、ドラマチックに描いた人気曲。まさにシルクロードから伝わってきた二胡の音が加わったこの曲は、まるでタイムマシーンに乗ったかのように、1700年前に秦氏が旅した世界に私たちをいざなってくれました。
#7 三味線ソロ 〜 #8 It's So Easy
感動のバラードが2曲続いた後、いっきにステージは躍動します。
お馴染み津軽三味線ミーサのソロ。そこから、レゲエテイストの人気曲『It's So Easy』に展開。
今回のミニアルバムにも収録された『It's So Easy』、なんとレゲエにから阿波踊りに発展していくという展開があまりにもスムーズ。さあ、ここからみんなの大好きな、お祭りの始まりです。
ところで、LAツアーでも密かな人気を呼び(?)、なんと全米ネットTVにも出演してしまったという、HEAVENESEのステージスタッフ、いや忍者チーム。
L.A.公演よりも遥かに規模の大きなネタの数々に、「一歩間違えば崩壊する」とマレが心配していた転換作業を見事にこなしてくれました。
忍者L.A.修行の成果がここに発揮されたのです。押忍! |
一緒に躍るシーンに気付きましたか!?
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ステージ脇にもよく見ると、忍者が!
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大太鼓ソロ 〜 棒術 〜 太鼓デュオ
太鼓デュオに聞き入っていると、突然客席後ろからメンバーが!
お客さんの間を縫ってステージに駆け上がると、全員手太鼓に・・・そして
さぁ、おまちかねのコントタイム。
とにかく、いかに飽きさせないかに頭を絞る、それがHEAVENESE。
毎晩遅くまでディスカッションされたコントの今回のオチはなんとダイナマイトによる大爆発。
ラッパーのエリック曰く、テロに敏感なアメリカではこのネタは使えないかも(?)と。戦争やテロのない国ならではの笑いに感謝。
HEAVENESEマスコットの(?)サックス小池君は、いよいよ芸人の道を極め始めましたね。
そして、最後はダンサー18人がなだれ込んでの大騒ぎ。まさに阿波踊り。
#9 3N1
次の展開が全く読めない、パフォーマンスの波状攻撃。
締めくくりは、通称「全員太鼓」の3N1。
毎回バージョンアップするこの曲、今回も新たなパートが加わっていました。
「僕らは和太鼓はビギナーだから」と謙遜するマレに、東京打撃団出身関根まことは「これはもうどこに出しても恥ずかしくない」と、文字通り太鼓判を押しています。
いつの日か、太鼓の大会にエントリーする日がくるかも(?) |
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#10 Rising
この時間帯はL.A.ツアーでは実現されていない、HEAVENESE体験ゾーン。
ダンサーHIDETOMOさんと、GONさん2人による舞いが披露されました。
この時使用された曲について問い合わせが多かったのですが、これはHEAVENESE海外リリース用の未発表曲で、まだレコーディングが完成していないのですが、後半のクワイアのアレンジはアンドレ・クラウチによるものです。
ところが、この曲のイメージ通りに踊った2人を観て、黒人ラッパーのエリックが「現在黒人教会で流行っているPraise danceとそっくりだ」と驚きの証言(勿論、本人達は知らない)。自分のショーの前には祈りを捧げるという『祈りのダンサー』HIDETOMOが、インスピレーションをキャッチしたということでしょうか。
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#11 LIFT
ショーのラストにも関わらず、まだまだ秘密兵器は投入されます。
若手三味線奏者(シャミセニスト)の寂空(Jack/ジャック)が登場。
ミーサとのツイン三味線でこの曲を盛り上げてくれました。
また、GONさんのダンスも、見る者をあきさせないパフォーマンス力の高いHEAVENESEの魅力をさらに引き出してくるものになりました。
EC Tell Everybody
誰もが感じた、あっという間のステージ。
スピード感、躍動感、そして感動や笑いが、ぎゅっと凝縮されたひとときでした。
飽きっぽいことで有名な、西海岸のオーディエンスを釘付けにしたという話しにも頷けます。
アンコールにもサプライズゲスト。
尺八DKの奥さんで、箏奏者の瑞穂さんが登場。
ラスト定番曲のTell Everybodyを華やかに彩ってくれました。
なんと、瑞穂さんはマレの本の熱心な読者で、作家石井希尚がHEAVENESEのボーカル・マレだということを後で知り、その驚きは相当だったそうです。
夫婦揃って舞台に上がる邦楽メンバー達、気がつけば和楽器チームもかなりの厚みを増してきました。
まさしく、「和ゴスペル」がここに完成です! |
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最後は出演者総出のフィナーレ。ステージと会場が一つになって大きなエネルギーを生み出しました。
出演者の数や、規模の大きさ。そして、バンド初のミニアルバム発売記念ライヴ。
更に、LAツアー以降初の凱旋ライヴ。
十分すぎる程の話題を満載した本公演は、それを吹き飛ばすようなパワー溢れるステージとなりました。
天国民第2章、HEAVENESEの新しいスタートを目撃し、体験して下さった皆様には心より感謝申し上げます。
Photo : Tomoshige Shimizu, Masako Tsutsui,Young Soon Ahn
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