HEAVENESE 3rd single, iTunes Storeにて配信中!

生まれる前にいた場所へ/Mighty Wind

解説

運命の歌

「あなたが押し流すと 人は眠りにおち 朝には移ろう 草のよう」
どこのJ-POPにもあり得ない、非常に啓示的な言葉で始まるこの曲は、HEAVENESEのレパートリーの中でも異彩を放つ一曲だった。
あの、バラードながらも米国で黒人教会を総立ちにさせたHEAVENESE初期の名曲、同タイプの「Silk Road」とはまた違う存在だ。

「Silk Road」では太古の昔にシルクロードを旅する民族のストーリーが描かれ、先の見えない現代社会を彷徨う我々に人生の応援歌だが、この曲「生まれる前にいた場所へ」は、物語りとしてではなく、直接心の深いところに語りかけて来る特別な曲だ。
そして、この曲は同時に、HEAVENESE自身の行く先を導くという役割も果したのである。


この曲が生まれたのは2010年、当時HEAVENESEのリーダーマレが定期的に開いていたプライベート・トークイベントで実験的に歌われ始めた。HEAVENESEの新曲は大体の場合、このイベントでまず歌われる。
派手なステージ衣装ではなく、普段着のHEAVENESEがカジュアルに演奏するギグ。
ここで何気なく披露され、オーディエンスの反応を観ながら、少しずつ曲の形が仕上げられていった。
作家、カウンセラーとして多才な顔を持つリーダーマレこと石井希尚は、その多忙のゆえにスタジオに入って曲作りをする時間は無い。
本番の中で曲を産み出し育てていく事が多いのだ。

実は、この手法はある意味でゴスペルに近い。あるいは、生活の中で歌い継がれ完成されていく民謡もそうだ。
この曲も、そうして毎週水曜夜に東京調布市仙川のライヴカフェで歌われながら、そのたたずまいを変えていった。

そして、運命の2011年3月がやってくる。
国難と言われた東日本大震災で、日本もHEAVENESEも大きく変わった。
活動の軸が復興支援となり、その中でも「奉納演奏」をメインに活動するという、全くどこのバンドにも無いコンセプトをHEAVENESEは見出し、その中心的な曲、つまりリード曲がこの「生まれる前にいた場所へ」になったのだ。

復興祈願祭後、地元総代さんと固い握手を交わすマレ

「あなたが押し流すと 人は眠りにおち 朝には移ろう 草のよう」
2011年10月被災地岩手県陸前高田市の黒崎神社礼大祭で、この曲が「捧げられた」とき。
歌う本人マレは勿論、曲を知る関係者達も、この曲の生まれし運命を悟り驚き躊躇さえした。

そして、生まれ変わったかのようなパワーを身に帯びたこの曲は、
現在HEAVENESEの人気イベント「HEAVENESE BRIDGE」のエンディングテーマ曲となり、2014年秋に待望のシングルリリース。
東京FMとMXテレビの推薦曲にもなり、より多くの人の耳に届くことになった。

また、2014年暮れに静岡市長が主催するフォーラムイベントにHEAVENESEが出演した際、市長後援会たってのリクエストで、
最後にこの曲を合唱するという演出が企てられ、「静岡の人は有名な曲でもなかなか一緒に歌わない」という定説を覆し、
なんと3000人の初見のお客様による大合唱を実現したと言うミラクルなエピソードも、この曲の持つ不思議な力を物語っている。


作者本人がまったく意識をぜずに作った曲が、後に意図しない形で用いられる事が、音楽の歴史ではしばしば起こる。
それは、天から降って来るインスピレーションをキャッチしたクリエーターたちが起こす奇跡であると同時に
必然なのかもしれない。

2015年3月東京増上寺での、慰霊法要にHEAVENESEは招かれ「生まれる前にいた場所へ」は奉納された。
「運命の歌」を授かったHEAVENESEは、これからも厳粛な気持ちでこの歌を世界中の魂に向って歌い続けるのだろう。

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